Aさん(83歳、女性、要介護3)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺があり、介護老人福祉施設で生活している。
家族から、「できることは自分で行ってほしい」と希望があり、Aさんは自室から食堂まで車いすで自走することを日課としている。
1週間前から、介護福祉士養成施設の学生がAさんのフロアで実習を開始した。
数日前からAさんは実習生に、「今日は腕が痛いので、食堂まで車いすを押してください」と依頼するようになった。
悩んだ実習生は、実習指導者に相談をした。
実習生に対する実習指導者の最初の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答5
解説
正解は5です。
事例では、家族の希望で車いすを自走していたAさんが、数日前から実習生に「腕が痛い」と介助を頼むようになっています。
行動が変化したときは、まずその理由を理解することが支援の出発点です。
【選択肢別解説】
1:× 「腕は痛くない」と決めつける根拠は事例にありません。
Aさんの訴えを否定すると、身体の異変や心の変化を見逃すおそれがあります。
2:× 「どのようなときも」本人に行わせるのは、状態の変化を考慮しない画一的な対応です。
痛みがあるなら介助が必要な場合もあります。
3:× 家族の希望を伝えるだけでは、Aさん本人の思いや状態が置き去りになります。
支援の判断は本人の状況の理解から始めます。
4:× 理由を確かめないまま「押さないで」と結論づけるのは早すぎます。
まず依頼の背景を理解する必要があります。
5:○ 依頼の理由として、実際の腕の痛み、意欲の低下、実習生と関わりたい気持ちなどが考えられます。
理由を考えることで適切な対応を判断できるため、最初の助言として最も適切です。
【ポイント】
「最初の対応」を問う事例問題では、結論を出す前の「状況の把握・理由の理解」を選ぶのが基本です。
本人の言葉や行動の変化の背景に目を向けることが、自立支援と尊厳の両立につながります。