Aさん(85歳、男性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)で生活をしている。
入所時、Aさんは、尿意や便意はあり、自分でトイレに行って排泄できていた。
最近、認知機能の低下によって、トイレ以外の場所で排泄するようになった。
次の記述のうち、Aさんの状態に合わせた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
骨盤底筋訓練を行う。 紙おむつを使用する。 一日の水分摂取量を減らす。 ほかの利用者と同じ時間にトイレへ誘導する。 トイレの出入口に「トイレ」と書いた紙を貼る。 解答・解説を見る 正答 5
解説 正解は5です。
認知症の進行によってトイレ以外の場所で排泄するようになった利用者への対応を問う問題です。
事例のAさんは「尿意や便意はあり」ますが、「認知機能の低下によって、トイレ以外の場所で排泄するようになった」と書かれています。
尿意はあるのにトイレの場所がわからないために起こる失禁を、機能性尿失禁といいます。
【選択肢別解説】
1:× 骨盤底筋訓練は、くしゃみや咳などでお腹に力が入ったときに漏れる腹圧性尿失禁に有効な方法です。
トイレの場所がわからないことが原因のAさんには効果がありません。
2:× Aさんには尿意や便意があり、トイレで排泄できる力が残っています。
紙おむつを使うと排泄の自立を損ない、自尊心も傷つけます。
3:× 水分摂取量を減らすと、脱水や便秘を招きます。
脱水は認知機能の低下を悪化させることもあり、適切ではありません。
4:× 排泄のタイミングは人によって違います。
ほかの利用者と同じ時間に誘導しても、Aさん自身の排泄のリズムには合いません。
5:○ トイレの出入口に「トイレ」と書いた紙を貼ると、Aさんは目で見てトイレの場所を確かめられます。
場所がわからないという原因に働きかけ、自分でトイレに行く力を生かす環境づくりです。
【ポイント】
認知症の人の排泄の失敗は、「場所がわからない」「衣服の扱いがわからない」など原因を探り、その原因に合った環境調整を行います。
尿意がある人にはおむつではなく、トイレで排泄できる支援を考えます。