Aさん(55歳、男性、会社員)は、20歳のときに交通事故で第5頚髄(C5)を損傷した。
現在、電動車いすを利用し、自宅で自立した生活を送っている。
身体状況は安定しているが、ときどき仙骨部に褥瘡ができることがある。
入浴は、居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用していて、訪問介護員(ホームヘルパー)が福祉用具を用いて入浴介護をしている。
次のうち、Aさんが入浴時に使用している福祉用具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
頸髄損傷の損傷レベルから残っている機能を考え、入浴に適した福祉用具を選ぶ問題です。
事例のAさんは「第5頚髄(C5)を損傷」し、「電動車いすを利用」しており、「ときどき仙骨部に褥瘡ができる」と書かれています。
C5損傷では、肩を動かしたり肘を曲げたりすることはできますが、手や指を使って体を支えたり、つかまったりすることは困難です。
【選択肢別解説】
1:× 移乗台は、浴槽の縁と同じ高さの台に腰かけ、手で体を支えながら移動するための用具です。
手で体を支えられないC5損傷のAさんには使えません。
2:× バスボードは、浴槽に渡した板の上を座ったまま横に移動する用具です。
上肢で体を支える力が必要なうえ、お尻をずらす動作で仙骨部に摩擦が加わり、褥瘡を悪化させるおそれがあります。
3:○ 入浴用リフトは、吊り具やいすに座った状態で、機械の力で浴槽への出入りを行う用具です。
上肢や下肢の力を使わずに安全に入浴でき、お尻をずらさないので褥瘡のある部位への負担も少なくなります。
4:× 浴槽用手すりは、手すりを握って体を支える力が必要です。
手指の機能が働かないAさんは手すりを握ることができません。
5:× 滑り止めマットは、自分で立ったり歩いたりする人の転倒を防ぐ用具です。
自力で立てないAさんの浴槽への出入りには役立ちません。
【ポイント】
頸髄損傷は、損傷部位が高いほど残る機能が少なくなります。
C5は肘を曲げられるが手は使えず、C6で手首を反らせ、C7で肘を伸ばせるようになる、という目安を押さえておきましょう。