A さん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。
1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。
半年前からA さんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。
ある夜、A さんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。
器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、A さんはアルコール依存症と診断された。
入院後3日。
面会に来た妻は、飲酒によって多くのトラブルを抱えている A さんへの対応に困っており、A さんの飲酒行動に対する関わり方について、今後どのようにすればよいか看護師に相談した。
A さんの妻に対する助言で適切なのはどれか。
正答4
解説
正解は4。
アルコール依存症の家族支援の中核概念は「イネーブリング(enabling)の中止」。
家族が患者の飲酒によるトラブル(仕事の謝罪・借金返済・家事代行等)を肩代わりすると、患者は飲酒の結果を体験せず断酒動機づけが低下する(共依存)。
本人がトラブルの結果を体験することで断酒への動機づけが生まれる。
1の議論は飲酒中の患者と論理的議論は不可能で、関係悪化を招く。
2の気持ちを聞かないは家族関係を断絶させ孤立を深める。
気持ちは聞いた上で行動の肩代わりをしない姿勢が重要。
3の注意しないは飲酒を黙認することになり、問題を矮小化する。
家族支援はALAnon(家族の自助グループ)参加、家族教室、CRAFT(Community Reinforcement and Family Training)等が有効。
「3つのC」:You didn't Cause it, You can't Control it, You can't Cure it(あなたが原因でなく、コントロールできず、治すこともできない)の理解が家族の心理的解放につながる。