以下のア〜ウの記述は、最高裁判所の判決又は決定の一部に若干の修正をしたものであるが、(a)〜(c)に入る用語の組み合わせとして、正しいものは、次の1〜4のうちどれか。
ア区分所有法第59条第1項の競売の請求は、特定の区分所有者が、(a)に反する行為をし、又はその行為をするおそれがあることを原因として認められるものである。
イ区分所有法第31条第1項の「(b)を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される。
ウ本件専有部分にある排水管は、その構造及び設置場所に照らし、専有部分に属しない(c)に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たると解するのが相当である。
(a)(b)(c)
正答2
解説
正解は2(a=区分所有者の共同の利益、b=特別の影響、c=建物の附属物)。
区分所有法に関する最高裁判例の重要なフレーズを穴埋めで問う問題です。
【解説】
(a)区分所有法59条1項の競売請求は、特定の区分所有者が「区分所有者の共同の利益」に反する行為をし、又はそのおそれがあることを原因として認められるものです(区分所有法6条1項・59条1項、最決平23.10.11)。
「規約遵守義務」違反そのものが競売請求の要件とされているわけではありません。
(b)区分所有法31条1項後段の「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、規約の設定・変更等の必要性・合理性と一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、その不利益が受忍すべき限度を超える場合をいうと判示されています(最判平10.10.30)。
「顕著な被害」という文言は条文にありません。
(c)専有部分内の床下に設置され、他の専有部分の排水を合流させる排水管の枝管について、判例は、専有部分に属しない「建物の附属物」に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たるとしました(最判平12.3.21)。
専用使用部分は、特定の区分所有者が排他的に使用する共用部分等をいい、ここには当たりません。
【選択肢別解説】
1:× aの「規約遵守義務」、cの「専用使用部分」が誤りです。
2:○ a・b・cすべて正しい組み合わせです。
3:× bの「顕著な被害」、cの「専用使用部分」が誤りです。
4:× aの「規約遵守義務」、bの「顕著な被害」が誤りです。
【ポイント】
「特別の影響」=比較衡量+受忍限度、「排水管の枝管」=建物の附属物で共用部分、というキーワードはそのまま覚えておきましょう。