次の文章は、団地内の区分所有建物の建替えに関する事件についての最高裁判所の判決の一部である。
その文中の(ア)〜(エ)に入るべき語句の組み合わせとして正しいものはどれか。
なお、文中の「同法」は、「建物の区分所有等に関する法律」をいう。
「同法70条1項は、団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各(ア)以上の賛成があれば、団地内区分所有者及び議決権の各(イ)以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが、団地内全建物一括建替えは、団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し、その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ、・・・(略)・・・、団地全体では同法62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め、各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり、同法70条1項の定めは、なお合理性を失うものではないというべきである。また、団地内全建物一括建替えの場合、1棟建替えの場合と同じく、・・・(略)・・・、建替えに参加しない区分所有者は、(ウ)ことにより、区分所有権及び敷地利用権を(エ)こととされているのであり(同法70条4項、63条4項)、その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。」
正答2
解説
正解は2(ア:3分の2、イ:5分の4、ウ:売渡請求権の行使を受ける、エ:時価で売り渡す)。
団地内全建物一括建替え決議(区分所有法70条)の合憲性を判断した最高裁判決(最判平21.4.23)の内容を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:「3分の2」が入ります。
一括建替え決議では、団地内の各建物ごとに区分所有者及び議決権の各3分の2以上の賛成が必要です(区分所有法70条1項)。
イ:「5分の4」が入ります。
団地内区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で決議し、判決文の「団地全体では同法62条1項(建替え決議=5分の4)の議決要件と同一の議決要件」という記述とも対応します。
ウ:「売渡請求権の行使を受ける」が入ります。
建替えに参加しない区分所有者は、参加者等から売渡請求権を行使される立場にあり、自ら買取請求権を行使するのではありません(区分所有法70条4項・63条4項)。
エ:「時価で売り渡す」が入ります。
売渡請求を受けた区分所有者は、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すこととされ、これが経済的損失への「相応の手当」とされています。
1:× アは正しいものの、イを「4分の3」、ウを「買取請求権を行使する」、エを「敷地利用権のみの価格で買い取らせる」としている点が誤りです。
2:○ アからエまですべて正しい組合せです。
3:× アを「4分の3」、ウを「買取請求権を行使する」、エを「時価で買い取らせる」としている点が誤りです。
4:× アを「4分の3」、イを「4分の3」、エを「敷地利用権のみの価格で売り渡す」としている点が誤りです。
【ポイント】
一括建替え決議は「全体で各5分の4以上+各棟で各3分の2以上」です。
不参加者には「売渡請求(時価)」で、買取請求(復旧の場合)とは区別しましょう。
※2026年4月施行の改正区分所有法では建替え決議等の要件の一部が見直されています。