62歳、男性。
1か月前から心窩部痛、食欲不振、体重減少がみられ病院を受診し、前庭部の進行胃癌と診断され、手術目的にて入院となった。
身長 165 cm、体重 45.5 kg、BMI 16.7 kg/m 2、この 1か月で 3.0 kg の体重減少がみられた。
血液検査値は、ヘモグロビン 9.5 g/dL、アルブミン 2.5 g/dL、基礎代謝量(推定式による) は、1,100 kcal/日であった。
術前の栄養状態改善を目標とした投与エネルギー量(kcal/日)と非たんぱく質エネルギー/窒素比(kcal/g)の組合せである。
正しいのはどれか。
1つ選べ。
エネルギー量(kcal/日) 非たんぱく質エネルギー/窒素比(kcal/g)
正答4
解説
正解は4です。
術前の低栄養を改善するための、投与エネルギー量と非たんぱく質エネルギー/窒素比(NPC/N比)を選ぶ問題です。
この患者はBMI 16.7 kg/m²、1か月で3.0 kgの体重減少、アルブミン2.5 g/dLと、高度の低栄養状態にあります。
【計算】
体重減少率=3.0÷(45.5+3.0)×100=3.0÷48.5×100=約6.2%(1か月)
1,800 kcal÷基礎代謝量1,100 kcal=約1.6倍
1,400 kcal÷基礎代謝量1,100 kcal=約1.3倍
1,800 kcal÷体重45.5 kg=約40 kcal/kg
【選択肢別解説】
1:× 1,400 kcalは、栄養状態の改善には不足しています。
基礎代謝量の約1.3倍で現状の維持にとどまり、NPC/N比80もたんぱく質の割合が高すぎます。
2:× NPC/N比120は適切ですが、1,400 kcalではエネルギーが不足しています。
体重と体たんぱく質を回復させるには、消費量を上回るエネルギーが必要です。
3:× 1,800 kcalは適切ですが、NPC/N比80は低すぎます。
NPC/N比が低いと、投与したたんぱく質の一部がエネルギー源として消費され、体たんぱく質の合成に効率よく使われません。
4:○ 1,800 kcal、NPC/N比120の組合せが正しいです。
基礎代謝量の約1.6倍のエネルギーで体重の回復を図り、NPC/N比を120程度に低めに設定してたんぱく質を多めに与えるためです。
5:× 1,800 kcalは適切ですが、NPC/N比200は高すぎます。
たんぱく質の割合が少なくなり、低アルブミン血症の改善や体たんぱく質の回復が不十分になります。
【ポイント】
NPC/N比は、健常時は150〜200程度、侵襲時や栄養状態の改善を目指すときは100〜150程度、腎不全ではたんぱく質を制限するため300以上と高くします。
NPC/N比は、たんぱく質以外のエネルギー(kcal)を窒素量(g)で割って求めます。