30歳、女性、事務職。
妊娠 15週、妊婦健康診査のために産婦人科外来を受診。
身長 160 cm で妊娠前の体重は 44 kg、現在の体重は 45 kg、血圧 100/60 mmHg。
血液検査値は、赤血球数 370万/μL、ヘモグロビン 9.2 g/dL、ヘマトクリット 30%であった。
そして、鉄欠乏性貧血と診断された。
食生活面では飲酒を妊娠前より減らし、毎日ビール中瓶 1本程度。
出産後の体重増加を最小限に抑えたいので、食事は妊娠前と同様に 1日 2回、主食はほとんど食べず、できるだけ魚や豆腐を食べるようにしている。
血液検査の結果である。
正しいのはどれか。
1つ選べ。
正答5
解説
正解は5です。
鉄欠乏性貧血の血液検査の特徴を問う問題です。
鉄が不足するとヘモグロビンが十分に作られず、小さく色の薄い赤血球(小球性低色素性貧血)になります。
【計算】
平均赤血球容積(MCV)=ヘマトクリット(%)÷赤血球数(10⁶/μL)×10
=30÷3.70×10
=約81 fL
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)=ヘモグロビン(g/dL)÷ヘマトクリット(%)×100
=9.2÷30×100
=約30.7%(基準値はおよそ31〜36%)
【選択肢別解説】
1:× 血清鉄は、高値ではなく低値を示します。
体内の鉄が不足しているためです。
2:× 不飽和鉄結合能(UIBC)は、低値ではなく高値を示します。
鉄を運ぶトランスフェリンが増える一方、鉄と結合していない部分が多くなるためです。
3:× 血清フェリチンは、高値ではなく低値を示します。
フェリチンは貯蔵鉄の量を反映し、鉄欠乏では最初に減少するためです。
4:× 平均赤血球容積(MCV)は、高値ではなく低値を示します。
本症例でも約81 fLで、基準値の下限付近にあり上昇していません。
5:○ 平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は低値を示します。
本症例でも計算すると約30.7%で、ヘモグロビンが不足した低色素性の赤血球であることがわかります。
【ポイント】
鉄欠乏性貧血は「血清鉄・フェリチン低下」「総鉄結合能・不飽和鉄結合能上昇」「MCV・MCHC低下」と覚えます。
MCVが上昇する大球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏で起こります。