K クリニックに勤務する管理栄養士である。
患者は、70歳、女性。
重度の関節痛と体力低下によって数年前から通院できなくなり、医師が往診している。
この度、腎機能低下が認められたため、医師からエネルギー 1,400 kcal/日、たんぱく質 40 g/日、食塩 6 g/日未満の食事について、在宅患者訪問栄養食事指導の指示があった。
屋内での生活はかろうじて自力で行えるが、買い物や食事の準備は近所に住む娘に頼んでいる。
摂食嚥下機能に問題はない。
身長 150 cm、体重 44 kg、BMI 19.6 kg/m 2、血圧 145/90 mmHg。
空腹時血液検査値は、ヘモグロビン 11.2 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、血糖 82 mg/dL、尿素窒素 26 mg/dL、クレアチニン 0.80 mg/dL、eGFR 54.1 mL/分/1.73 m 2。
翌月に、再び在宅患者訪問栄養食事指導を行った。
娘より、「最近、母の食欲が低下してきたようだ。」との訴えがあった。
対策を相談していたところ、患者から「昔のように、パンにバターをたっぷり塗って食べたい。」と言われた。
これに対する返答である。
最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答1
解説
正解は1です。
食欲が低下してきた在宅患者からの「バターをたっぷり塗って食べたい」という希望に、どう答えるかを問う問題です。
この患者の主な課題はエネルギー不足であり、さらに食欲も落ちてきています。
本人が食べたいと望むものは、食欲を引き出すきっかけになります。
【選択肢別解説】
1:○ バターはエネルギーが高く、たんぱく質やカリウムはほとんど含みません。
エネルギー不足を補えるうえに、本人の希望をかなえて食欲を高められるので、最も適切な返答です。
2:× 5 gに量を決めると、エネルギーの補給量が少なくなります。
本人の希望も十分にかなえられず、食欲の回復につながりにくくなります。
3:× マーガリンに替える必要性はありません。
本人が望むバターを否定することになり、食べる意欲を損ないます。
4:× 回数を週2回に制限する理由はありません。
エネルギー不足を補う機会を減らしてしまいます。
【ポイント】
高齢者の低栄養対策では、本人の嗜好や希望を尊重して「食べる意欲」を支えることが重要です。
制限よりも、エネルギーを確保できる方法を一緒に考えましょう。