53歳、男性。
標準体重 64 kg の肝硬変患者。
血清アルブミン値 2.2 g/dL、血清フェリチン値 200 ng/mL(基準値 15〜160 ng/mL)、腹水・浮腫あり、肝性脳症が認められる。
この患者に肝不全用経腸栄養剤 630 kcal を投与した際の、食事から摂取する 1日当たりの目標栄養量に関する記述である。
最も適当なのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
肝性脳症と腹水を伴う非代償性肝硬変で、肝不全用経腸栄養剤を併用している症例です。
経腸栄養剤からとる分を差し引き、食事から摂るべき量を考えます。
事例文の「肝性脳症」「腹水・浮腫」「フェリチン200 ng/mL(高値)」が判断の根拠です。
【選択肢別解説】
1:× 必要エネルギーは標準体重1 kg当たり25〜35 kcal程度です。
64 kg×30 kcal≒1,900 kcalから経腸栄養剤630 kcalを引くと、食事からは約1,300 kcalが必要です。
600 kcalでは大きく不足します。
2:○ 肝性脳症があるため、食事のたんぱく質は1日0.5〜0.7 g/kg程度に抑えます。
64 kg×0.6 g≒40 gとなり、不足分は分岐鎖アミノ酸を多く含む経腸栄養剤で補います。
3:× 腹水・浮腫があるため、食塩は1日5〜7 g程度に制限します。
8 gでは多すぎます。
4:× 血清フェリチン値が200 ng/mLと高く、肝臓への鉄の蓄積が疑われます。
鉄は酸化ストレスで肝障害を進めるため、12 mg以上ではなく1日7 mg以下に制限します。
5:× 便秘はアンモニアの吸収を増やし、肝性脳症を悪化させます。
食物繊維は制限せず、十分に摂取して便通を整えます。
【ポイント】
肝性脳症では、低たんぱく食と分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含む肝不全用経腸栄養剤を組み合わせます。
腹水には食塩制限、フェリチン高値には鉄制限、肝性脳症予防には便秘対策を行います。