K 病院に勤務する管理栄養士である。
患者は、72歳、男性。
独居。
1か月前から労作時の呼吸苦が出現した。
1週間前から呼吸苦の増強とともに、食欲不振、下痢、下肢の浮腫が加わり、弁膜症による慢性心不全の急性増悪と診断され緊急入院となった。
身長 160 cm、体重 50 kg、BMI 19.5 kg/m 2。
発熱なし。
空腹時の血液検査値は、BNP (脳性ナトリウム利尿ペプチド)840 pg/mL(基準値 18.4 pg/mL 未満) 、LDL コレステロール 98 mg/dL、アルブミン 2.8 g/dL、eGFR 68 mL/分/1.73 m 2、酸素飽和度 93%。
入院 2日目、バイタルサインは安定し呼吸苦と消化器症状が改善してきたため、静脈栄養法に加え、経腸栄養法を開始することとした。
静脈ルートを確保する目的として、静脈栄養法では 200 kcal/日(1,000 mL)が投与されており、経腸栄養法で800 kcal/日を追加することとした。
使用する栄養剤として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答3
解説
正解は3です。
心不全では体液が過剰になりやすいため、水分量を抑えた栄養補給が必要です。
すでに静脈栄養で1,000 mL の水分が入っているので、経腸栄養で800 kcal を追加するときは、できるだけ少ない水分量で済む栄養剤を選びます。
【計算】
0.5 kcal/mL の場合は、800 kcal÷0.5=1,600 mL です。
1.0 kcal/mL の場合は、800 kcal÷1.0=800 mL です。
2.0 kcal/mL の場合は、800 kcal÷2.0=400 mL です。
【選択肢別解説】
1:× 0.5 kcal/mL に希釈すると1,600 mL が必要になり、静脈栄養と合わせて2,600 mL になります。
水分が過剰になり、心不全を悪化させるおそれがあります。
2:× 1.0 kcal/mL では800 mL が必要で、静脈栄養と合わせて1,800 mL になります。
2.0 kcal/mL の栄養剤に比べて水分負荷が大きくなります。
3:○ 2.0 kcal/mL では400 mL で800 kcal を投与でき、水分量を最も少なく抑えられます。
心不全の水分管理に適しているので、最も適切です。
4:× 成分栄養剤は、消化をほとんど必要としない栄養剤で、クローン病など消化吸収能が大きく低下した場合に使います。
本例では必要性が低く、1.0 kcal/mL では水分量も800 mL と多くなります。
【ポイント】
心不全や腎不全など水分制限が必要な病態では、高濃度(1.5〜2.0 kcal/mL)の栄養剤を活用します。
高濃度の栄養剤は浸透圧が高いので、下痢に注意して速度を調整します。