K 総合病院の在宅診療部に勤務する管理栄養士である。
患者は、76歳、独居男性。
脳梗塞後遺症により要支援1。
嚥下機能に問題はない。
高血圧症のため通院加療を続けていた。
最終通院時、血圧 112/68 mmHg、身長 167 cm、体重 62 kg、BMI 22.2 kg/m2。
1週間前に、発熱、咽頭痛が生じ、近医を受診したところ、新型コロナウイルス感染症と診断された。
自宅での薬物療法により、発熱、咽頭痛は改善された。
解熱鎮痛薬服用6日目に、心窩部痛と食欲不振が出現した。
翌日になっても症状が改善しないため、近医から当院に連絡があり、担当医が男性宅を訪問し、診療した。
口渇を訴えているものの、心窩部痛があるため市販のゼリー飲料と経口補水液のみを摂取していた。
尿検査を行ったところ、濃縮尿であった。
入院加療の必要性はないと担当医が判断し、在宅で加療することとなった。
この時点での対症療法として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答3
解説
正解は3です。
新型コロナウイルス感染症の治療で解熱鎮痛薬を服用した後、心窩部痛と食欲不振が出現しました。
口渇があり、ゼリー飲料と経口補水液しかとれず、尿検査で濃縮尿がみられることから、脱水状態にあると判断できます。
入院は不要と判断されており、在宅で短期間、水分と電解質を補う方法を選びます。
【選択肢別解説】
1:× 嚥下機能に問題はなく、症状は心窩部痛による一時的な食欲不振です。
経鼻胃管を挿入して栄養剤を胃に入れると、心窩部痛のある胃に負担がかかるため適切ではありません。
2:× 胃瘻栄養法は、長期間(4週間以上)経口摂取ができない場合に、手術や内視鏡で胃瘻を造設して行う方法です。
一時的な食欲不振に対して選ぶ方法ではありません。
3:○ 末梢静脈栄養法(末梢からの輸液)は、在宅でも短期間、安全に水分と電解質を補給できます。
脱水の補正が当面の目的であり、胃を休ませることもできるため、最も適切です。
4:× 中心静脈栄養法は、長期間にわたって高エネルギーの投与が必要な場合に選びます。
カテーテル感染などのリスクもあり、短期間の脱水補正には適していません。
【ポイント】
高齢者は口渇を感じにくく、脱水になりやすいため注意が必要です。
解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)は、胃粘膜障害による心窩部痛の原因になることがあります。