K 総合病院の管理栄養士である。
患者は、75歳、独居女性。
2か月前から、足腰の痛みがあり、買い物など外出の頻度は減り、食欲も低下していた。
隣の県に住む娘が、毎週、様子を見に訪ね、食べ物を渡していた。
飲水以外にほとんど食べていない日も時々あることに気付き、心配していた。
こうした中、娘がいつものように患者宅を訪ねると、患者は布団から起き上がれないまま、ぐったりしていた。
救急搬送後、腰椎圧迫骨折と診断され、入院となった。
意識レベルは JCSⅡ─20。
身長 150 cm、入院時の体重 38 kg(2か月前の体重 42 kg)、BMI 16.9 kg/m2。
空腹時の血液検査値は、アルブミン 2.6 g/dL、血糖 138 mg/dL、尿素窒素 38 mg/dL、 クレアチニン 1.3 mg/dL、 ナトリウム 138 mEq/L、 カリウム 3.1 mEq/L、 リ ン 1.8 mg/dL。
患者は、救急搬送されるまでの2日間、飲まず食わずで倒れていたことが判明した。
輸液療法が行われ意識は回復したが、改訂水飲みテストは3点、気力や体力もない状態のため、翌日に経鼻胃管栄養法を開始することになった。
標準的な半消化態栄養剤(1kcal/mL)を用いた栄養補給プランである。
最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答1
解説
正解は1です。
この患者は、2か月で体重が42 kgから38 kgに減少し(約10%減)、BMIは16.9です。
さらに2日間飲まず食わずで、栄養補給前から低カリウム血症(3.1 mEq/L)と低リン血症(1.8 mg/dL)があります。
リフィーディング症候群の高リスク患者です。
高リスクでは、10 kcal/kg/日以下の少量から開始し、数日かけて増量します。
【計算】
開始時の上限 = 38 kg × 10 kcal/kg/日 = 380 kcal/日
選択肢1 = 15 mL/時 × 24時間 = 360 mL = 360 kcal/日
選択肢2 = 50 mL/時 × 24時間 = 1,200 kcal/日
選択肢3 = 50 mL/時 × 4時間 × 3回 = 600 kcal/日
選択肢4 = 100 mL/時 × 4時間 × 3回 = 1,200 kcal/日
【選択肢別解説】
1:○ 360 kcal/日は、開始時の上限380 kcal/日以内です。
低速の持続投与で、消化管への負担も小さくできます。
2:× 1,200 kcal/日は、約32 kcal/kgに当たり、開始量として多すぎます。
リフィーディング症候群を誘発するおそれがあります。
3:× 600 kcal/日は、約16 kcal/kgで上限を超えます。
4:× 1,200 kcal/日で、しかも100 mL/時の速い速度です。
リフィーディング症候群や下痢、誤嚥のリスクが高くなります。
【ポイント】
リフィーディング症候群の高リスク患者は、10 kcal/kg/日以下から開始し、リン・カリウム・マグネシウムを監視しながら増やします。