80 歳の女性。
多発性脳梗塞。
動作の観察から、明らかな運動麻痺はみられないが軽度の感覚障害が予想される。
軽度の認知症があり、口頭での詳細な手順の説明は理解しにくい。
深部感覚検査として適切なのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
軽度の認知症があり、口頭での細かい手順の説明が理解しにくい患者に、深部感覚(位置覚・運動覚)を検査する方法を選ぶ問題です。
指示が簡単で、患者が課題を理解しやすい検査が適しています。
【選択肢別解説】
1:× これは、検者が他動的に動かした検査肢の肢位を、患者が非検査肢を自分で動かしてまねる模倣試験です。
位置覚の標準的な検査ですが、「反対側で同じ形を作る」という手順を理解する必要があります。
口頭の説明が理解しにくい本例には適しません。
2:× 非検査肢を検者が他動的に動かしても、患者自身は動かないため、検査肢の位置覚を答える手段になりません。
深部感覚の検査では、検査肢を他動的に動かし、患者に応答させるのが原則です。
3:× 検査肢を自分で動かすと、運動の指令(遠心性の情報)で位置がわかってしまいます。
深部感覚だけを純粋に評価できません。
4:× 検査肢を他動的に動かし、いったん戻してから同じ位置を再現させる試験は、記憶と手順の理解を要します。
認知症のある本例には適しません。
5:○ 関節定位覚検査(母指探し試験)は、閉眼させて検者が一側の母指を空間に固定し、反対側の手でその母指をつかませる検査です。
「親指をつかんでください」という簡単な指示で行えるので、認知症のある本例に適しています。
【ポイント】
母指探し試験は、固定した側(母指を探される側)の位置覚の障害を簡便に検出できます。
深部感覚検査は閉眼で行い、検査肢は他動的に動かすのが原則です。