患者の股関節部エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。
大腿骨および下腿骨に骨折はなく、膝関節の変形や可動域制限はない。
右大腿長44.0cm、両側の下腿長35.5cm、右下肢の棘果長83.0cmであった。
左下肢の肢長検査で正しいのはどれか。
選択肢は「棘果長 ー 転子果長」の順。
正答1
解説
正解は1です。
棘果長と転子果長の差から、脚長差の原因部位を推定する問題です。
棘果長は上前腸骨棘から内果まで、転子果長は大転子から外果までの距離です。
エックス線写真では、左大腿骨頭の輪郭がみられず、左大腿骨の近位端が寛骨臼の外側上方に位置しています。
【計算】
右の転子果長は、大腿長と下腿長を足して求めます。
右の転子果長=大腿長44.0cm+下腿長35.5cm=79.5cmです。
左は大腿骨・下腿骨に骨折がなく膝の変形もないため、大腿骨より遠位の長さは右と同じです。
したがって左の転子果長も79.5cmです。
一方、左は股関節で大腿骨が上方へ偏位しているため、棘果長は右の83.0cmより短くなります。
【選択肢別解説】
1:○ 棘果長が81.0cmに短縮し、転子果長は79.5cmで右と等しい組合せです。
股関節より近位(骨盤と大腿骨の位置関係)で短縮が起きている所見と一致します。
2:× 転子果長78.5cmは右より1cm短く、大腿骨か下腿骨の短縮を意味します。
本例は骨折がなく、転子果長は右と同じ79.5cmになるはずです。
3:× 転子果長77.5cmは右より2cm短い値です。
大腿骨・下腿骨に短縮の原因がない本例では成り立ちません。
4:× 棘果長83.0cmは右と同じで、股関節部での短縮がないことを意味します。
エックス線写真で左大腿骨の近位端が上方へ偏位している所見と矛盾します。
5:× 棘果長83.0cmは股関節部の短縮を反映せず、転子果長77.5cmも骨の短縮を意味します。
どちらの値も本例の所見と合いません。
【ポイント】
棘果長だけが短く転子果長が等しいときは、股関節脱臼や大腿骨頭・頸部の病変など股関節部の問題を考えます。
両方が短いときは、大転子より遠位の骨(大腿骨・下腿骨)の短縮を考えます。