28 歳の男性。
2週前に Guillain-Barré 症候群と診断された。
γ グロブリン大量静注療法を実施され、症状の進行は停止した。
本日実施した右上肢の運動神経伝導検査の結果を表に示す。
最も障害されていると考えられる運動はどれか。
正答5
解説
正解は5です。
表の運動神経伝導検査で、正常値の下限を下回る項目を探します。
尺骨神経は複合筋活動電位の振幅が手首刺激で0.5mV(下限2.8mV)、肘刺激で0.3mV(下限2.7mV)と著しく低下しています。
伝導速度も40.2m/s(下限50m/s)と低下しています。
一方、正中神経と橈骨神経の値はいずれも下限以上です。
したがって尺骨神経が最も障害されており、尺骨神経支配の筋による運動が最も障害されます。
【選択肢別解説】
1:× 母指対立は母指対立筋などによる運動で、主に正中神経支配です。
正中神経の検査値は正常範囲です。
2:× 示指MP関節の伸展は指伸筋と示指伸筋による運動で、橈骨神経支配です。
橈骨神経の検査値は正常範囲です。
3:× 中指DIP関節の伸展には、指伸筋(橈骨神経)と虫様筋(中指は正中神経)、骨間筋(尺骨神経)が関与します。
複数の神経の筋が働くため、尺骨神経障害で最も障害される運動にはなりません。
4:× 環指PIP関節の屈曲は浅指屈筋による運動で、正中神経支配です。
正中神経の検査値は正常範囲です。
5:○ 小指外転は小指外転筋による運動で、尺骨神経支配です。
尺骨神経の振幅と伝導速度が低下しているため、最も障害されると考えられます。
【ポイント】
振幅の低下は軸索の障害や伝導ブロックを、伝導速度の低下は脱髄を反映します。
手内在筋のうち、母指球筋の多くは正中神経、小指球筋と骨間筋は尺骨神経支配です。