70 歳の男性。
脳梗塞による右片麻痺。
Brunnstrom 法ステージは上肢Ⅱ、下肢 Ⅲ。
重度の感覚障害と右肩関節に亜脱臼を認める。
T 字杖で室内歩行は自立している。
ADL 指導で最も正しいのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
上肢Brunnstrom法ステージⅡの重度右片麻痺に、重度の感覚障害と右肩関節の亜脱臼を伴う症例です。
麻痺側の肩を守ること、感覚のない麻痺側で危険を感じ取れないことを前提に、各図のADL動作を判断します。
【選択肢別解説】
1:× 図1は、右側を下にした側臥位で両下肢をベッドから下ろし、起き上がろうとしている場面です。
亜脱臼のある麻痺側の肩を下にすると、体重で肩が圧迫・牽引され、疼痛や損傷の原因になります。
起き上がりは非麻痺側(左側)を下にし、非麻痺側の肘と手で支えて行うよう指導します。
2:× 図2は、浴槽縁のバスボードに座り、左手で右下肢を持ち上げて先に湯の中へ入れています。
重度の感覚障害がある麻痺側から入ると、湯温を感じ取れず熱傷の危険があります。
浴槽へは非麻痺側の下肢から入れて、湯温を確かめるよう指導します。
3:○ 図3は、座位で非麻痺側の左手を使い、麻痺側の右上肢から袖を通しています。
上衣は麻痺側から着て非麻痺側から脱ぐ「着患脱健」が原則です。
麻痺側の肩を大きく動かさずに済むため、亜脱臼のある肩にも負担が少ない方法です。
4:× 図4は、床に片手をつき、片膝立ちから立ち上がろうとしている場面です。
床からの立ち上がりは、体幹を深く前屈させたまま麻痺側の膝にも体重をかける、転倒の危険が大きい動作です。
下肢ステージⅢで重度の感覚障害がある本症例では、ベッドや椅子を使い床から立ち上がる場面を減らす指導が優先されます。
5:× 図5は、左手に杖を持ち、奥側の右下肢(麻痺側)を先に上の段へ上げて昇段しています。
階段を昇るときは「杖、非麻痺側、麻痺側」の順に上げるのが原則です。
麻痺側を先に上げると、支持の弱い下肢で体重を持ち上げることになり危険です。
【ポイント】
片麻痺のADL指導は「着患脱健」「昇りは非麻痺側から、降りは麻痺側から」「感覚障害のある側で湯温を確かめない」が基本です。
亜脱臼のある肩は下敷きにしたり牽引したりしないよう保護します。