H-E染色標本〈別冊No. 9A〉とPAS染色標本〈別冊No. 9B〉を別に示す。
病原微生物はどれか。
正答1
解説
正解は1です。
別冊No. 9AのH-E染色標本では、下方に大腸の陰窩をもつ粘膜があり、上方の壊死物の中に、泡沫状の細胞質をもつ円形の大型細胞が多数みられます。
一部の細胞は、取り込んだ赤血球を細胞質に含んでいます。
別冊No. 9BのPAS染色標本では、これらの円形から楕円形の細胞が赤紫色に強く染まっています。
細胞は赤血球の数倍の大きさで、細胞質に小さな空胞や取り込んだ物質が見えます。
大腸粘膜の潰瘍部に、赤血球を貪食しPAS陽性を示す大型の栄養型がみられることから、赤痢アメーバと判断します。
【選択肢別解説】
1:○ 赤痢アメーバの栄養型は直径20〜40 µm程度で、細胞質がPAS染色で赤紫色に染まります。
赤血球を貪食し、大腸にフラスコ型の潰瘍を作るのが特徴で、図の所見と一致します。
2:× トリコモナスは鞭毛をもつ西洋梨形の原虫で、主に腟や尿道に寄生します。
大腸粘膜に侵入して赤血球を貪食する像はみられません。
3:× アスペルギルスは糸状菌で、組織内では幅が均一で隔壁をもち、鋭角に分岐する菌糸として見えます。
円形の大型細胞としては見えません。
4:× クリプトコッカスは厚い莢膜をもつ酵母様真菌で、直径5〜10 µm程度の小さな円形の菌体です。
赤血球を貪食することはありません。
5:× ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜の表面にいる小さならせん状の桿菌です。
大腸の潰瘍部に大型の細胞として見えることはありません。
【ポイント】
赤痢アメーバは、組織ではPAS染色で赤紫に染まる大型の栄養型として、便ではシストや赤血球を貪食した栄養型として検出します。
大腸の病変から肝臓に移ると、アメーバ性肝膿瘍を起こします。