広範な皮下出血とAPTT延長が認められたのでAPTTの交差混合試験を実施した。
結果を表に示す。
患者血漿:正常血漿 10:0 8:2 5:5 2:8 0:10
混和直後[秒] 92 83 71 50 31
37℃・2時間後[秒] 94 93 86 72 32
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の交差混合試験は、APTT延長の原因が凝固因子の欠乏か、凝固を妨げる物質(インヒビター)かを見分ける検査です。
患者血漿と正常血漿をさまざまな比率で混ぜ、混和直後と37℃で2時間加温後にAPTTを測定します。
本例では、正常血漿を5割混ぜても混和直後のAPTTは71秒と延長が残り、正常血漿を加えても十分に補正されていません。
さらに2時間加温後は、どの比率でもAPTTが混和直後より延長しています(5:5で71秒から86秒、2:8で50秒から72秒)。
加温によって延長が強まるのは、時間とともに作用する第Ⅷ因子インヒビターの特徴です。
広範な皮下出血という症状と合わせると、後天性血友病Aと判断できます。
【選択肢別解説】
1:○ 後天性血友病Aは、第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)ができる病気です。
インヒビターは時間依存的に働くため、加温後にAPTTがさらに延長します。
突然の広範な皮下出血や筋肉内出血も特徴で、本例と一致します。
2:× ビタミンK欠乏症は凝固因子の欠乏です。
正常血漿を混ぜると欠乏した因子が補われ、APTTは補正されます。
加温後に延長が強まることもありません。
3:× von Willebrand病もvon Willebrand因子の欠乏が原因です。
交差混合試験では補正パターンを示し、インヒビターのパターンにはなりません。
また皮膚粘膜出血が主体です。
4:× アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)は血管の炎症による紫斑で、凝固検査は正常です。
APTTは延長しません。
5:× 播種性血管内凝固〈DIC〉では、凝固因子が消費されて減少します。
交差混合試験では補正パターンとなり、インヒビターのパターンは示しません。
【ポイント】
交差混合試験は「正常血漿で補正されれば因子欠乏、補正されなければインヒビター」です。
混和直後から延長するのはループスアンチコアグラント、加温後に延長が強まるのは第Ⅷ因子インヒビターに特徴的です。