28歳の男性。
右利き。
交通事故による右前頭葉背外側部の頭部外傷のため入院した。
作業療法が開始され、4か月が経過した。
四肢に運動麻痺や感覚障害を認めず、歩行は自立している。
日中はボーッとして過ごすことが多いが、促されると日課を行う。
話しかければ日常会話は問題なく成立するが、自発話は乏しい。
この患者の高次脳機能評価として最も適切なのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
前頭葉背外側部は、計画を立てて行動を開始・調整する遂行機能(実行機能)を担います。
本例は麻痺がなく会話も成立しますが、自発性が乏しく、促されないと行動できません。
これは遂行機能障害や発動性の低下を示しており、その評価法を選びます。
【選択肢別解説】
1:○ BADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome:遂行機能障害症候群の行動評価)は、日常生活に近い課題で遂行機能を評価する検査です。
本例の主症状を評価するのに最も適しています。
2:× SLTA(標準失語症検査)は失語症の評価です。
本例は日常会話が成立しており、失語症は主症状ではありません。
3:× SPTA(標準高次動作性検査)は失行症の評価です。
本例に動作の誤りを示す記載はありません。
4:× VPTA(標準高次視知覚検査)は視覚失認などの視知覚障害の評価です。
本例に視知覚の障害を示す記載はありません。
5:× CBS(Catherine Bergego Scale)は、日常生活の場面で半側空間無視を観察評価する尺度です。
本例に無視症状の記載はありません。
【ポイント】
前頭葉損傷による遂行機能障害にはBADS、前頭葉機能の簡易評価にはFAB(Frontal Assessment Battery)を用います。
検査名と対象症状を対で覚えることが大切です。