20歳の男性。
幼少期は一人遊びが多かった。
小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。
大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。
大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。
この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
この問題は適切でないものを選ぶので、○ が答え(この患者に適さない関わり)です。
幼少期からの一人遊び、融通の利かなさ、相手に配慮した発言の苦手さから、自閉スペクトラム症が背景にあると考えられます。
二次的にいじめ体験の想起によるパニックやひきこもりが生じています。
【選択肢別解説】
1:× ルールや取り決めを明示するのは適切な関わりです。
暗黙の了解を読み取ることが苦手なため、あらかじめ明確に示すと安心して参加できます。
2:× 興味や関心のある活動を導入するのは適切な関わりです。
関心の強い領域を入り口にすると、参加の動機が高まり、成功体験を積みやすくなります。
3:○ 作業手順を言葉で細かく伝えるのは適切ではありません。
自閉スペクトラム症では、耳から聞いた長い説明を覚えて処理するのが苦手なことが多いです。
手順は写真や図、手順書などで目に見える形で示すほうが理解しやすくなります。
4:× 心理教育プログラムを行うのは適切な関わりです。
自分の特性やストレスへの対処法を学ぶことで、パニックや対人関係の困難に備えられます。
5:× パラレルな場を用いるのは適切な関わりです。
パラレルな場とは、同じ場所にいながら他者との交流を強いられず、それぞれが自分の作業をする場です。
対人関係の負担が少なく、集団に慣れる段階として有用です。
【ポイント】
自閉スペクトラム症への支援の基本は、構造化と視覚的な手がかりです。
口頭説明は短く具体的にし、手順は目で見て確認できる形にします。