53 歳の女性。
前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血にて救急搬送された後、クリッピング術が施行された。
術後1週で作業療法が処方された。
言語機能と身体機能には大きな問題はみられず、食事、更衣、整容などは自立していたが、担当の作業療法士の名前や新しい出来事が覚えられない、などがみられた。
この患者に行う評価で適切なのはどれか。
2つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答2・5
解説
正解は2と5です。
前交通動脈瘤の破裂によるくも膜下出血では、前脳基底部などの損傷により記憶障害が起こりやすいことが知られています。
本例は言語と身体機能に大きな問題がなく、新しいことが覚えられない(前向性健忘)ことが主な症状です。
そのため、全般的な認知機能と記憶機能を評価する検査を選びます。
【選択肢別解説】
1:× BIT(行動性無視検査)は半側空間無視を評価する検査です。
本例には無視を示す所見がないため適しません。
2:○ MMSE(Mini-Mental State Examination)は、見当識・記銘・遅延再生などを含む全般的な認知機能のスクリーニング検査です。
記憶障害の有無と全体の認知機能を短時間で把握できます。
3:× SLTA(標準失語症検査)は失語症を評価する検査です。
本例は言語機能に大きな問題がないため適しません。
4:× VPTA(標準高次視知覚検査)は視覚失認などの視知覚障害を評価する検査です。
本例にはその症状がみられないため適しません。
5:○ WMS-Ⅲ(ウェクスラー記憶検査第3版)は、言語性・視覚性の記憶や作業記憶を詳しく評価する検査です。
新しい出来事が覚えられないという記憶障害の程度を把握するのに適しています。
【ポイント】
前交通動脈瘤破裂後は、記憶障害・作話・人格変化などが起こりやすいことを覚えておきましょう。
記憶の詳しい評価にはWMS-R(ウェクスラー記憶検査改訂版)、RBMT(リバーミード行動記憶検査)なども用います。