24 歳の女性。
統合失調症。
1年前に職場の対人関係のストレスから発症した。
現在は休職し、外来通院をしている。
嫌がらせをされているという被害妄想は薬物療法により消失したが、ちょっとした周りの表情やしぐさを見て「周りの人が私のことを言っているような気がする」という猜疑的な言動はみられている。
そこで主治医の判断により、認知機能の改善を目的に週1回、外来作業療法を利用したプログラムに参加することになった。
この患者の治療目的に合ったプログラムとして適切なのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
本症例は、被害妄想は消えたものの、他者の表情やしぐさを自分に結びつけて解釈する猜疑的な傾向が残っています。
これは他者の意図や感情の読み取りの偏り、つまり社会認知の障害です。
治療目的は社会認知を含む認知機能の改善です。
【選択肢別解説】
1:× ACT(包括型地域生活支援プログラム)は、重い精神障害者に多職種チームが訪問で集中的な支援を行う仕組みです。
外来通院が可能な本症例の社会認知の改善を直接の目的とするものではありません。
2:× エンパワメントアプローチは、本人が自分の力を取り戻し主体的に生活を決められるよう支える考え方です。
社会認知を訓練するプログラムではありません。
3:× IPS(個別就労支援プログラム)は、一般就労を希望する人をすぐに職場に配置し、働きながら支援する就労支援の方法です。
休職中で認知面の改善を目的とする段階には合いません。
4:○ SCIT(社会認知ならびに対人関係のトレーニング)は、感情の読み取り、状況の解釈の偏りへの気づき、対人場面の練習を集団で行うプログラムです。
他者のしぐさを被害的に解釈する傾向の改善という目的に合っています。
5:× WRAP(元気回復行動プラン)は、本人が自分の調子を保つ方法や悪化時の対処をまとめる自己管理の計画です。
社会認知の訓練ではありません。
【ポイント】
統合失調症の認知機能障害には、神経認知の障害と社会認知の障害があります。
「結論への飛躍」や「他者の意図の誤読」には SCIT、自己管理とリカバリーには WRAP、就労には IPS と結びつけて覚えましょう。