21 歳の女性。
衝動的に食器を割ったり、自身の手首を切ったりするなどの行為が続いたため精神科病院へ入院となった。
夜になると両親に電話し、自分を見捨てるのではないかと脅迫的に責めたてた。
また主治医を罵倒し、椅子を投げつけるなどの暴力を振るった後すぐに「先生はすばらしいお医者さんですからどうか治してください」と泣きながら懇願することもあった。
この患者の作業療法を行う上で適切でないのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は適切でないものを選ぶので、○ が答え(不適切な対応)です。
本症例は、衝動的な自傷、見捨てられ不安、相手を理想化したりこき下ろしたりする不安定な対人関係を示しています。
境界性パーソナリティ障害が考えられ、作業療法では一貫した治療構造を保つことが重要です。
【選択肢別解説】
1:○ 退行的な言動をそのまま受け入れると、依存や行動化がさらに強まります。
受容的な態度は大切ですが、枠組みを示さずに退行を許すのは不適切です。
2:× 境界性パーソナリティ障害では、治療者ごとに態度を変える「分裂」が起こりやすいです。
主治医や看護師など他の治療状況を把握し、チームで対応をそろえるのは適切です。
3:× 患者の激しい感情に触れると、治療者にも怒りや無力感などの感情(逆転移)が生じます。
それを自覚して対応に持ち込まないことは適切です。
4:× 自傷や暴力などの行動化が自分にもたらす結果を説明することは、行動を振り返り責任を自覚する助けになります。
適切な対応です。
5:× 時間・場所・行動の約束など、双方が守る規則を明確にすると、治療の枠組みが安定します。
行動化を抑える基本的な対応です。
【ポイント】
境界性パーソナリティ障害への対応は「一貫した枠組み」「チームでの情報共有」「逆転移の自覚」が基本です。
受容しつつも限界設定を行うことが大切です。