76歳の女性。
物忘れのために日常生活で失敗が目立った。
最近、夫の浮気を疑うようになり、顔を合わせると興奮し物を投げるなどの行為がみられる。
息子が誤りであることをいくら説明しても納得しない。
この患者の精神症状を評価する尺度として適切なのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
物忘れのある高齢女性が、夫の浮気を疑う嫉妬妄想を抱き、興奮して物を投げるなどの行動をとっています。
これは認知症の行動・心理症状(BPSD)であり、その評価には認知症の精神症状を幅広くとらえる尺度を使います。
【選択肢別解説】
1:× HRS-D(ハミルトンうつ病評価尺度)は、うつ病の重症度を面接で評価する尺度です。
妄想や興奮などのBPSDを評価する目的には合いません。
2:○ NPI(Neuropsychiatric Inventory)は、妄想・幻覚・興奮・うつ・不安などの精神症状の頻度と重症度を、介護者への面接で評価する尺度です。
認知症のBPSDの評価に広く用いられており、本症例に適切です。
3:× POMS(Profile of Mood States)は、緊張や抑うつ、怒りなど一時的な気分の状態を自分で答える質問紙です。
妄想を伴う認知症の精神症状の評価には適しません。
4:× SANS(陰性症状評価尺度)は、統合失調症の感情の平板化や意欲低下などの陰性症状を評価する尺度です。
認知症の妄想や興奮の評価には用いません。
5:× SDS(Zung自己評価式抑うつ尺度)は、抑うつの程度を本人が回答して評価する尺度です。
妄想や興奮を評価する尺度ではありません。
【ポイント】
NPIは介護者から情報を得るので、本人に病識がない認知症でも評価できます。
認知機能はHDS-RやMMSE、BPSDはNPIやBEHAVE-ADというように、評価の目的で尺度を使い分けます。