50 歳の男性。
妻と二人暮らし。
1年前に支店長に昇進してから仕事量が増え、 持ち前の几帳面さと責任感から人一倍多くの仕事をこなしていた。
半年前に本社から計画通りの業績が出ていないことを指摘され、それ以来仕事が頭から離れなくなり、休日も出勤して仕事をしていた。
2か月前から気分が沈んで夜も眠れなくなり、1か月前からは仕事の能率は極端に低下し、部下たちへの指揮も滞りがちとなった。
ある朝、「自分のせいで会社が潰れる、会社を辞めたい、もう死んで楽になりたい」と繰り返しつぶやいて布団にうずくまっていた。
心配した妻が本人を連れて精神科病院を受診し、同日入院となった。
入院後1週間が経過した時に気分を聞くと、返答までに長い時間がかかり、小さな声で「そうですねえ」と答えるのみであった。
作業療法士の対応として適切なのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
几帳面で責任感が強い男性が、昇進後の過重労働を契機に抑うつ気分、不眠、能率低下、自責感、希死念慮を示しています。
入院1週後も返答が遅く小声で、精神運動制止が強く残っています。
うつ病の急性期であり、この時期の基本は休養です。
【選択肢別解説】
1:× 急性期のうつ病では判断力が低下しているため、退職などの重大な決定は回復するまで先延ばしにするのが原則です。
退職を勧めるのは不適切です。
2:× 精神運動制止が強い時期に気晴らしを勧めても、楽しめない自分を責める原因になります。
急性期には不適切です。
3:○ 急性期は心身のエネルギーが低下しているため、十分な休息をとることが最優先です。
作業療法士も休息を保証し、焦らなくてよいことを伝えます。
4:× 激励は「頑張れない自分」への自責感を強め、希死念慮を悪化させるおそれがあります。
うつ病の患者への激励は避けるのが原則です。
5:× 集団認知行動療法は、思考の偏りを見直す作業が必要で、集中力と気力がある程度回復した回復期に導入します。
制止の強い急性期には負担が大きすぎます。
【ポイント】
うつ病急性期の対応は、休養の保証、激励しない、重大な決定を先延ばしにする、の3点が原則です。
作業療法は回復期から、短時間で負担の少ない活動を中心に段階的に導入します。