43 歳の女性。
多発性硬化症。
発症から 3 年経過。
寛解と再燃とを繰り返している。
四肢筋力は軽度低下し、表在感覚が軽度鈍麻している。
疲労の訴えが多く、入院となった。
最近徐々に視覚障害を生じてきた。
この患者に対する作業療法で最も適切なのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
多発性硬化症は、中枢神経の脱髄が寛解と再燃を繰り返す疾患です。
本例は易疲労性が強く、視覚障害が進行しつつあるため、疲れにくく視覚への依存が少ない作業を選びます。
【選択肢別解説】
1:× 針で布を縫う裁縫は、細かな針先を目で追い続ける作業です。
進行する視覚障害がある本例には負担が大きく、針による受傷の危険もあります。
2:× 鋸で板を切る木工は、立位で上肢と体幹に強い力を繰り返し出す作業です。
運動量が多く、易疲労性のある本例では疲労を招きやすいため適しません。
3:× 鍬で土を耕す畑仕事は、前かがみの立位で全身を使う重労働です。
疲労が強いうえ、屋外の暑さで症状が一時的に悪化するおそれもあります。
4:× 木槌で刻印を打つ革細工は、刻印の位置を目で正確に合わせる必要があります。
打つ動作の衝撃も繰り返し加わるため、視覚障害と易疲労性のある本例には不向きです。
5:○ 卓上の機織りは座位で行え、杼(ひ)を左右に通す動作を一定のリズムで繰り返す作業です。
手の感覚で糸の位置を確かめながら進められ、細かな視覚作業を必要としません。
負荷を自分で調整しやすく、休憩も挟みやすいため本例に最も適しています。
【ポイント】
多発性硬化症では、疲労の管理(エネルギー温存)と体温上昇の回避が作業療法の基本です。
視覚障害が加わる場合は、触覚や反復的なリズムで進められる作業を選びます。