11歳の女児。
不登校を心配した母親に連れられて来院した。
幼少期に人見知りはせず、抱っこをせがむこともなかった。
保育園では一人遊びが多かった。
現在の成績は上位。
運動は苦手だがサッカー観戦は好きで、地元チームの選手の背番号と生年月日を全て記憶している。
冗談が通じずクラスで仲間外れになることがある。
この児の障害で正しいのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
人見知りがなく、一人遊びが多く、冗談が通じないことから、対人関係や社会的なやり取りの困難さがうかがえます。
一方で、選手の背番号と生年月日をすべて覚えるという限定された強い興味もみられます。
知的な遅れはなく、成績は上位であることから、知的障害を伴わない自閉スペクトラム症(ASD)と考えられます。
【選択肢別解説】
1:× ASDでは、味や食感、見た目へのこだわりから偏食が多くみられます。
偏食はまれではありません。
2:○ ASDでは、音や光、触覚などに過敏になったり、逆に鈍くなったりする感覚の異常がよくみられます。
DSM-5でも、感覚刺激への過敏さや鈍感さは診断基準の一つに挙げられています。
3:× ASDでは、相手の表情や声の調子から感情を読み取ることが苦手です。
他人の感情の変化を敏感に察知することは難しく、本例の冗談が通じないこともこの特徴にあたります。
4:× ASDでは、同じ手順や習慣にこだわり、変更を嫌う傾向があります。
日常習慣の変更の受け入れは良好ではありません。
5:× 「サリーとアン課題」は、他者が自分と違う誤った信念を持つことを理解できるかをみる課題です。
定型発達児は4〜5歳で正解するようになりますが、ASD児では正解できる時期が遅れます。
【ポイント】
ASDの中核は、社会的コミュニケーションの困難と、限定された興味や反復的な行動の2つです。
感覚の過敏・鈍麻もこの行動特性に含まれ、偏食や特定の音への強い苦痛の原因になります。