次の文で示す患者の病証に対する治療方針で最も適切なのはどれか。
「40歳の男性。主訴は肩こり。人間関係のトラブルから徐々に自覚。頸肩部の動作時痛や牽引感はないが、肩の張りが持続する。ひどくなると咽に何かがつかえた感じがする。」
正答1
解説
正解は1です。
人間関係のトラブルという情志の失調から肩の張りが生じています。
動作時痛や牽引感がないので、経筋や経脈の局所的な病変ではありません。
悪化すると咽に何かがつかえた感じ(梅核気)が出る点は、肝気鬱結による気滞の典型です。
【選択肢別解説】
1:○ 情志の失調で肝の疏泄が滞ると、気が鬱滞して張りや咽のつかえ感が生じます。
肝気を疏通して気滞を除く方針が病態に合っています。
2:× 腎気を補益する方針は、腰や膝のだるさ、耳鳴り、頻尿などの腎虚の所見があるときのものです。
本症例にはそれらの所見がありません。
3:× 陽明経を疏通する方針は、陽明経の流注に沿った痛みや牽引感がある経脈病に用います。
本症例は動作時痛や牽引感がなく、病態が異なります。
4:× 肝腎経を補う方針は、めまいや腰膝のだるさなどを伴う肝腎の虚証に用います。
本症例はストレスによる実証の気滞なので合いません。
【ポイント】
ストレスで悪化する張り感、ため息、咽のつかえ感(梅核気)は肝気鬱結の代表的な症状です。
動作時痛の有無は、経絡の病か臓腑の病かを見分ける手がかりになります。