次の文で示す患者の病証で最も適切なのはどれか。
「80 歳の男性。日頃から腰下肢にだるさがあり、顔や目が赤く、頭や肩に張ったような痛みもあった。昨日、トイレで倒れ、舌が強ばって話しづらくなり、左の上下肢が麻痺した。」
正答2
解説
正解は2です。
高齢男性に突然起こった卒倒、舌のこわばり、片麻痺の病証を問う問題です。
日頃の腰下肢のだるさは肝腎の陰の不足を示します。
顔や目の赤み、頭や肩の張った痛みは、肝陽が上に昇る肝陽上亢を示します。
その肝陽が極まって内風が生じ、急に倒れて言語障害と片麻痺を起こしたのが肝風内動(肝陽化風)です。
【選択肢別解説】
1:× 肝腎陰虚は、腰膝のだるさ、めまい、耳鳴り、ほてり、寝汗などが長く続く虚証です。
病態の背景にはありますが、突然の卒倒や片麻痺は説明できません。
2:○ 肝陽上亢が進んで内風が生じると、急な卒倒、舌の強ばり、半身不随などの中風の症状が現れます。
本症例は日頃の肝陽上亢の症状に続いて卒倒と片麻痺が起きており、肝風内動に当たります。
3:× 肝陽上亢は、顔面紅潮、目の充血、頭の張った痛み、いらいらなどが中心の病証です。
発作前の状態には当てはまりますが、卒倒や片麻痺まで進んだ現在の病証としては不十分です。
4:× 肝気鬱結は、抑うつ、ため息、胸脇部の張りなど気の滞りが中心の病証です。
顔の赤みや片麻痺のような風の症状は起こしません。
【ポイント】
肝陽上亢がさらに進むと肝陽化風となり、中風(脳卒中)の原因になります。
肝腎陰虚を背景に肝陽上亢が起こり、急変して肝風内動に至る流れで整理すると理解しやすくなります。