Aの所有する甲土地にBを地上権者とする地上権(以下この問において「本件地上権」という。 )が設定され、その旨の登記がされた後に、甲土地にCを抵当権者とする抵当権が設定され、その旨の登記がされた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア BがAとの売買契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
イ Aが死亡してBがAを単独相続し、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
ウ BがAとの代物弁済契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
エ BがAとの贈与契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
正答4
解説
正解は4です。
所有権と地上権が同一人に帰属した場合に地上権が混同で消滅するかを問う問題です。
同一物について所有権と他の物権が同一人に帰属したときは、他の物権は消滅するのが原則です(民法179条1項本文)。
ただし、その物が第三者の権利の目的であるときは消滅しません(民法179条1項ただし書)。
本問の甲土地には、地上権の後にCの抵当権が設定されています。
地上権が消滅すると、後順位の抵当権者Cが不当に利益を受けるため、地上権は存続します。
【記述別解説】
ア:× 売買によってBが甲土地の所有権を取得しても、甲土地はCの抵当権の目的となっています。
そのため、民法179条1項ただし書により本件地上権は消滅しません。
イ:× 相続による取得でも、取得原因が異なるだけで結論は同じです。
甲土地がCの抵当権の目的である以上、本件地上権は消滅しません。
ウ:× 代物弁済による取得でも、甲土地はCの抵当権の目的です。
したがって、本件地上権は混同によって消滅しません。
エ:× 贈与による取得でも、同様に甲土地はCの抵当権の目的です。
したがって、本件地上権は消滅しません。
正しい記述は一つもないため、正解は4の「なし」です。
【ポイント】
混同の例外は「その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるとき」です。
所有権の取得原因(売買・相続・代物弁済・贈与)は混同の成否に影響しないことも押さえましょう。