正答3
解説
正解は3です。
敷金の性質と、返還の時期・承継・担保する範囲が問われています。
出題当時(2018年)は敷金の明文規定がなく、判例によって判断されていました。
【選択肢別解説】
1:× 敷金返還請求権は、建物を明け渡した時点で、未払債務を差し引いた残額について発生します(最判昭48.2.2)。
契約期間中はまだ返還請求権が発生していないので、借主はこれを賃料債務と相殺できません。
2:× 建物の明渡しが先で、敷金の返還は後になります。
両者は同時履行の関係にないので、借主は敷金の返還を受けるまで明渡しを拒むことはできません(最判昭49.9.2)。
3:○ 賃借権が譲渡されて借主の地位が移転しても、特段の事情がない限り、敷金は新しい借主に承継されません(最判昭53.12.22)。
敷金は旧借主が自分の債務を担保するために差し入れたものだからです。
4:× 敷金は、賃料債務に限らず、明渡しまでに生じた借主の一切の債務を担保します。
そのため、原状回復費用にも敷金を充当することができます。
【ポイント】
「明渡しが先、敷金返還が後」「借主の交代では敷金は引き継がれない」が敷金の基本です。
なお、2020年4月施行の改正民法で、これらの判例の考え方が民法622条の2として明文化されました。