定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約との異同に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 定期建物賃貸借契約も普通建物賃貸借契約も書面により締結しなければ、有効な契約とならない。
イ 契約期間が1年未満の場合、定期建物賃貸借契約も普通建物賃貸借契約も、いずれも期間の定めのない賃貸借契約となる。
ウ 定期建物賃貸借契約では、一定の期間、賃料を減額しない旨の特約(不減額特約)は有効であるが、普通建物賃貸借契約ではこのような特約は無効である。
エ 借主からする中途解約を認める特約は、定期建物賃貸借契約でも普通建物賃貸借契約でも有効である。
正答2
解説
正解は2です。
定期建物賃貸借と普通建物賃貸借の違いを問う問題です。
条文番号は出題当時のものです。
正しいのはウとエの2つです。
【記述別解説】
ア:× 普通建物賃貸借は、書面によらなくても有効に成立します。
書面による締結が有効要件とされているのは、定期建物賃貸借です(借地借家法38条1項)。
普通建物賃貸借は、口頭の合意でも成立する諾成契約です(民法601条)。
イ:× 1年未満の期間を定めた定期建物賃貸借は、期間の定めのない賃貸借にはなりません。
普通建物賃貸借で1年未満の期間を定めると、期間の定めがない建物賃貸借とみなされます(借地借家法29条1項)。
しかし、定期建物賃貸借には29条1項が適用されないため、1年未満の期間も有効です(38条1項後段)。
ウ:○ 定期建物賃貸借では、賃料を減額しない旨の特約も有効です。
借賃の改定に係る特約がある定期建物賃貸借には、賃料増減額請求の規定(32条)が適用されません(38条7項)。
普通建物賃貸借では、32条が強行規定と解されるため、不減額特約は無効です。
エ:○ 借主からの中途解約を認める特約は、どちらの契約でも有効です。
借主に有利な特約であり、借主を保護する借地借家法の趣旨に反しないためです。
以上より、正しいものは2つで、正解は2です。
【ポイント】
定期建物賃貸借では、床面積200㎡未満の居住用建物について、やむを得ない事情による借主の中途解約権が法律で認められています(38条5項)。
なお、2022年の改正で38条の項番号がずれ、現在は不減額特約の規定が38条9項、中途解約の規定が38条7項です。