原状回復に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(国土交通省平成23年8月。以下、各問において「ガイドライン」という。)では、家具を設置したことだけによる床、カーペットのへこみ、設置跡については、貸主負担とすることが妥当とされている。
イ ガイドラインでは、戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草について、草取りが適切に行われていない場合は、借主に責任があると判断される場合が多いとされている。
ウ ガイドラインでは、鍵の取替えについて、破損や鍵紛失という事情のない場合は、入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、貸主負担とすることが妥当とされている。
エ ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄について、喫煙等による臭い等が付着していない限り、貸主負担とすることが妥当とされている。
正答4
解説
正解は4です。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(ガイドライン)による費用負担の区分を問う問題です。
アからエはすべて正しく、正しいものは4つです。
【記述別解説】
ア:○ 家具の設置だけによる床・カーペットのへこみや設置跡は、貸主負担とするのが妥当とされています。
家具の設置は通常の生活で必ず生じるもので、通常損耗に当たるためです。
通常損耗の補修費用は、賃料に含まれていると考えられています。
イ:○ 戸建住宅の庭の雑草は、草取りが適切に行われていない場合、借主に責任があると判断されることが多いとされています。
庭の手入れは、借主の善管注意義務の範囲内と考えられるためです。
ウ:○ 破損や紛失のない場合の鍵の取替えは、貸主負担とするのが妥当とされています。
入居者の入れ替わりに伴う防犯上の措置であり、物件管理上の問題だからです。
エ:○ 喫煙等による臭いなどが付着していない場合のエアコン内部洗浄は、貸主負担とするのが妥当とされています。
通常の使用で生じる汚れであり、借主の管理が悪いとはいえないためです。
以上より、正しいものは4つで、正解は4です。
【ポイント】
ガイドラインは、経年変化と通常損耗は貸主の負担とし、借主の故意・過失や通常の使用を超える使用による損耗だけを借主の負担としています。
2020年4月施行の改正民法でも、通常損耗と経年変化が借主の原状回復義務の対象外であることが明文化されました(621条)。