サブリース方式による賃貸管理に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
ア 所有者は、管理業者との間の原賃貸借契約を管理業者の賃料不払いを理由に解除する場合、あらかじめ転借人(入居者)に対して催告をしなければならない。
イ 所有者は、管理業者との間の原賃貸借契約を合意解除したときは、転借人(入居者)に対して明渡しを請求することができる。
ウ 所有者は、管理業者との間の原賃貸借契約を管理業者の賃料不払いを理由に解除したときは、転借人(入居者)に対して明渡しを請求することができる。
エ 所有者は、原賃貸借契約が期間満了により終了する場合、転借人(入居者)に通知しなければならない。
正答4
解説
正解は4です。
サブリース方式で、原賃貸借(所有者と管理業者の契約)が終了した場合の転借人(入居者)の地位を問う問題です。
出題当時の民法と判例に基づいて判断します。
適切なのはウとエです。
【記述別解説】
ア:× 管理業者の賃料不払いを理由に解除する場合、転借人への事前の催告は不要です。
判例は、賃料の延滞を理由に原賃貸借を解除するにあたり、転借人に支払の機会を与える必要はないとしています(最判昭37.3.29)。
イ:× 原賃貸借を合意解除しても、所有者は転借人に明渡しを請求できません。
判例は、原賃貸借の合意解除を、適法な転借人に対抗できないとしています(最判昭37.2.1)。
当事者の合意だけで、転借人の地位を一方的に奪うことは信義則上許されないためです。
ウ:○ 管理業者の賃料不払いを理由に原賃貸借を解除したときは、所有者は転借人に明渡しを請求できます。
債務不履行による解除は転借人に対抗でき、所有者が転借人に返還を請求した時に転貸借は終了します(最判平9.2.25)。
エ:○ 原賃貸借が期間満了で終了する場合、所有者は転借人にその旨を通知しなければなりません。
建物が転貸されている場合、通知をしなければ原賃貸借の終了を転借人に対抗できません(借地借家法34条1項)。
通知から6か月が経過すると、転貸借は終了します(同条2項)。
以上より、適切なものの組合せはウとエで、正解は4です。
【ポイント】
2020年4月施行の改正民法で、合意解除を転借人に対抗できないという判例の考え方が613条3項として明文化されました。
ただし、合意解除の当時に債務不履行による解除権を持っていた場合は、転借人に対抗できるとされています。