Aさん(32歳、初産婦)。
妊娠35週0日、破水と陣痛発来で来院した。
羊水混濁や胎児心拍の異常は認めず、来院後5時間で、経腟分娩となった。
児は出生時、筋緊張の低下を認め自発呼吸がなかった。
体位を整えて口鼻腔内吸引を行い、身体の羊水を拭き取った後、皮膚刺激を行った。
約1分間皮膚刺激を行っても自発呼吸が認められず、心拍数は6秒間に4回であったため、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着し、生後2分からroom airで人工呼吸を開始した。
約30秒間人工呼吸を行ったところ、啼泣を始め、心拍数130/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉80%であった。
人工呼吸を中止したところ努力呼吸は認めなかったため、生後10分まで観察を継続した後に蘇生を終了し、病棟で呼吸状態を観察することとした。
新生児蘇生法ガイドライン 2015 に基づいてスタッフ間でデブリーフィング(振り返り)を行った。
アセスメントとして適切なのはどれか。
正答3
解説
正解は3。
新生児蘇生法ガイドライン2015では、出生後の初期処置(保温、体位の保持、気道の開通、皮膚の乾燥と刺激)を行っても自発呼吸がない、または心拍数が100/分未満の場合は、人工呼吸を開始する。
人工呼吸は生後60秒以内に開始することが目標とされている。
本例は心拍数40/分(6秒間に4回)で自発呼吸がなかったのに、約1分間皮膚刺激を続け、人工呼吸の開始が生後2分になった。
そのため、人工呼吸をより早く開始すべきであった。
1は誤りで、人工呼吸の開始が遅れており、蘇生方法は適切とはいえない。
2は誤りで、皮膚刺激を長く続けると人工呼吸が遅れるため、初期処置の後は速やかに評価して次の処置に進む。
3は正しい。
4は誤りで、人工呼吸中止後に努力呼吸はなく、SpO2 80%は生後数分の目標値(生後3分で70%以上)を満たしているため、酸素投与は必要ない。
なお、在胎35週以上の児では、人工呼吸を空気(room air)で開始する。
5は誤りで、胸骨圧迫は、30秒間の有効な人工呼吸を行っても心拍数が60/分未満のときに人工呼吸と組み合わせて開始する。
本例は人工呼吸で心拍数が130/分に回復しており、胸骨圧迫は必要ない。
図解