22歳の男性。
サイクリングが趣味である。
最近、右手の環指、小指のしびれを自覚し来所した。
図の検査を実施し陽性であった。
わずかであるが骨間筋と小指球筋に萎縮がみられた。
また、前腕の感覚障害はみられなかった。
他に考えられる所見はどれか。
正答4
解説
正解は4です。
図は両手で紙をつまんで左右に引き合う検査で、片側の手では母指のIP関節が曲がって紙を押さえています。
これはフローマンサイン陽性で、尺骨神経支配の母指内転筋の筋力低下を長母指屈筋で代償している所見です。
環指・小指のしびれ、骨間筋と小指球筋の萎縮があり、前腕の感覚障害がないことから、サイクリングのハンドル圧迫による手関節部(ギヨン管)での尺骨神経障害が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 下垂指は尺骨神経障害の所見ではありません。
下垂指は橈骨神経の深枝である後骨間神経の麻痺で、MP関節の伸展ができなくなる状態です。
2:× 祝祷肢位は尺骨神経障害ではなく正中神経の高位麻痺でみられます。
握ろうとしても母指・示指・中指が曲がらず、伸びたまま残る肢位です。
3:× スワンネック変形は尺骨神経障害の所見ではありません。
PIP関節過伸展・DIP関節屈曲の変形で、関節リウマチや槌指の陳旧例などでみられます。
4:○ 鉤爪指変形が他に考えられる所見です。
尺骨神経麻痺で骨間筋と環指・小指の虫様筋が働かなくなると、MP関節が過伸展し、PIP・DIP関節が屈曲します。
この変形は鉤爪指変形(鷲手)と呼ばれ、環指と小指に強く現れます。
【ポイント】
ギヨン管症候群は手背尺側の感覚を担う尺骨神経手背枝が分岐した後の障害なので、手背や前腕の感覚は保たれます。
尺骨神経障害は「フローマンサイン・鉤爪指変形・骨間筋萎縮」、正中神経障害は「祝祷肢位・猿手」と対比します。