20 歳の男性。
高速道路で自動車運転中に横転して受傷した。
搬送先の病院で撮影した左上腕の単純エックス線写真(別冊 No. 1)を別に示す。
左手に運動麻痺がみられ、急性期治療後も麻痺は残存している。
使用すべき装具はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
エックス線写真では、左上腕骨の骨幹部の中央から遠位にかけての部分に、ほぼ横走する骨折線がみられます。
骨折部では骨片の間に段差があり、転位を伴っています。
上腕骨骨幹部骨折では、骨のすぐ後ろの橈骨神経溝を走る橈骨神経が損傷されやすくなります。
【選択肢別解説】
1:× 把持装具は橈骨神経麻痺に用いる装具ではありません。
主に頸髄損傷で手指の機能を失った患者に用い、手関節の背屈の力を利用して物をつまむための装具です。
2:× 短対立装具は橈骨神経麻痺に用いる装具ではありません。
母指を対立位に保つ装具で、母指球筋が麻痺する低位の正中神経麻痺に用います。
3:○ 手背屈装具(コックアップスプリント)は、手関節を背屈位に保つ装具です。
橈骨神経麻痺による下垂手では手関節と指を伸ばせないため、手関節を背屈位に支えることで握る動作がしやすくなります。
4:× ナックルキャストは橈骨神経麻痺に用いる装具ではありません。
中手指節関節(MP関節)を屈曲位に保つもので、尺骨神経麻痺による鷲手変形などに用います。
【ポイント】
上腕骨骨幹部骨折、特に中央から遠位1/3の骨折では橈骨神経麻痺の合併に注意します。
橈骨神経麻痺の多くは神経の挫傷であり、数か月で自然に回復することも少なくありません。