Aさん(80歳、女性、要介護1)は、筋力や理解力の低下がみられ、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。
訪問介護員(ホームヘルパー)がいない時間帯は、同居している長男(53歳、無職)に頼って生活をしている。
長男はAさんの年金で生計を立てていて、ほとんど外出しないで家にいる。
ある時、Aさんは訪問介護員(ホームヘルパー)に、「長男は暴力がひどくてね。この間も殴られて、とても怖かった。長男には言わないでね。あとで何をされるかわからないから」と話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんのからだに複数のあざがあることを確認した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答1
解説
正解は1です。
高齢者虐待が疑われる場面で、訪問介護員がとるべき対応を問う問題です。
事例では、Aさんが「長男は暴力がひどくてね」「殴られて、とても怖かった」と話し、訪問介護員は「からだに複数のあざ」を確認しています。
本人の訴えとあざという客観的な所見がそろっており、身体的虐待が強く疑われます。
【選択肢別解説】
1:○ 上司に報告して組織で共有し、市町村に通報する対応が適切です。
高齢者虐待防止法では、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、市町村に通報するよう定められています。
守秘義務があっても通報は妨げられず、市町村は通報者が誰かを漏らしてはならないとされています。
2:× 就労支援は虐待への直接の対応ではありません。
長男の生活課題への支援は、市町村や地域包括支援センターが虐待対応の中で検討することです。
3:× 何もしないのは誤りです。
本人の「言わないでね」という気持ちは受け止めつつも、身体への危険がある以上、通報して安全を確保する必要があります。
4:× 訪問介護員が長男を問いただすのは不適切です。
Aさんが話したことが長男に知られ、かえって暴力が強まるおそれがあります。
5:× 近所の人に確認するのは不適切です。
Aさんの個人情報やプライバシーを第三者に漏らすことになり、事実確認は市町村が行う役割です。
【ポイント】
虐待を疑ったら、介護職が一人で判断や確認をせず「上司に報告し、市町村に通報する」のが基本です。
通報は虐待を確定させてから行うものではなく、「虐待を受けたと思われる」段階で行います。