〔事例〕
Eさん(35歳、男性)は、1年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。
当初の症状としては、ろれつが回らず、食べ物の飲み込みが悪くなり、体重の減少がみられた。
その後、Eさんの症状は進行し、同居している両親から介護を受けて生活をしていたが、両親の介護負担が大きくなったため、障害福祉サービスを利用することになった。
障害支援区分の認定を受けたところ、障害支援区分3になった。
Eさんは訪問介護員(ホームヘルパー)から食事や入浴の介護を受けて自宅で生活をしている。
ある日、Eさんの自宅を訪問した訪問介護員(ホームヘルパー)は、Eさんの両親から、「これまでEは話をするのが難しく、筆談で意思を聞いてきたが、ペンを持つのが難しくなってきた」と聞いた。
確かにEさんは、発話や字を書くことは困難な様子だが、目はよく動いている。
次のうち、今後、Eさんが家族とコミュニケーションをとるときに使うことのできる道具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
発話も筆談も難しくなったALSの人のコミュニケーション手段を選ぶ問題です。
Eさんは「発話や字を書くことは困難な様子だが、目はよく動いて」います。
ALSでは眼球の動きが保たれやすいため、目の動きを使って意思を伝える道具が適しています。
【選択肢別解説】
1:× ホワイトボードは、ペンで文字を書く必要があります。
ペンを持つことが難しくなっているEさんには使えません。
2:× 絵や写真は、指さしなどで選ぶ使い方が多く、伝えられる内容も限られます。
手の動きが難しいEさんの意思を細かく伝える手段としては不十分です。
3:○ 透明文字盤が適切です。
文字が書かれた透明の板を挟んで向かい合い、Eさんの視線が向いた文字を相手が読み取ることで、目の動きだけで言葉を伝えられます。
4:× 拡声器は、出ている声を大きくする道具です。
発話そのものが難しいEさんには役立ちません。
5:× 補聴器は、聞こえにくさを補う道具です。
Eさんの障害は聞こえではなく、話すことと書くことです。
【ポイント】
ALSの人のコミュニケーションには、透明文字盤のほか、視線入力装置や意思伝達装置が用いられます。
病気の進行を見越して、早い段階から使い慣れておくことが大切です。