今、発達の実験のために、図のようなテーブル(テーブル表面の左半分が格子柄、右半分が透明な板で床の格子柄が透けて見える)の左端に、Kさん(1歳1か月)を座らせた。
テーブルの反対側には母親が立っている。
Kさんは、格子柄と透明な板との境目でいったん動くのをやめて、怖がった表情で母親の顔を見た。
母親が穏やかにほほ笑むと、Kさんは母親の方に近づいていった。
Kさんの行動を説明する用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
この実験は「視覚的断崖」と呼ばれるものです。
図では、テーブルの左半分に格子柄の板があり、右半分は透明な板になっています。
透明な板の下には床の格子柄が見えるので、乳児には右半分が深い段差のように見えます。
Kさんは格子柄の側にはいはいの姿勢でいて、母親は透明な板の側のテーブルの端に立っています。
Kさんは境目で「怖がった表情で母親の顔を見た」後、「母親が穏やかにほほ笑むと」母親の方に近づいていきました。
不確かな状況で、信頼する人の表情を手がかりにして自分の行動を決めることを社会的参照といいます。
【選択肢別解説】
1:× 自己中心性は、ピアジェ(Piaget, J.)の発達理論で、幼児が他者の視点に立って物事を考えることが難しい特徴を指します。
Kさんの行動の説明には当たりません。
2:× 愛着理論は、ボウルビィ(Bowlby, J.)による、養育者との情緒的な結びつきに関する理論です。
母親の表情を見て行動を決めたというKさんの行動を直接表す用語ではありません。
3:× 向社会的行動は、他人を助けたり分け与えたりするなど、他者のためになる自発的な行動です。
Kさんの行動とは異なります。
4:○ Kさんは、怖いかどうか判断できない場面で母親の表情を確かめ、ほほ笑みを見て安全だと判断して進みました。
これは社会的参照の典型的な例です。
5:× 原始反射は、新生児期にみられる、刺激に対する生まれつきの反射運動です。
吸啜反射やモロー反射などがあり、1歳過ぎの判断を伴う行動ではありません。
【ポイント】
社会的参照は生後1歳前後からみられます。
「迷ったときに大人の表情を見て行動を決める」と覚えます。