Aは、Bに対し、Aが所有するマンションの1住戸甲(以下、本問において「甲」 という。) に抵当権を設定する旨の代理権を授与していた。
この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
正答1
解説
正解は1。
表見代理と無権代理人の責任の関係、代理人の行為能力、任意代理人の復任権、復代理人の代理の仕方を問う問題です。
【選択肢別解説】
1:○ 抵当権設定の代理権しかないBが売買契約を締結したのは権限外の行為で、表見代理(民法110条)が成立し得ます。
しかし判例は、表見代理が成立する場合でも、相手方Cは表見代理を主張せずに、無権代理人Bに対して無権代理人の責任(民法117条)を追及できるとしています。
Bは「表見代理が成立するから自分は責任を負わない」と主張できません(最判昭和62年7月7日)。
2:× 代理人は行為能力者であることを要しません。
制限行為能力者も代理人になることができるので、「代理人となることはできない」とする点が誤りです(民法102条)。
※現行法では、制限行為能力者が代理人としてした行為は行為能力の制限を理由に取り消せないことを原則としつつ、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は例外とする規定が置かれています。
3:× 委任による代理人(任意代理人)が復代理人を選任できるのは、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときに限られます。
Aが拒否し、やむを得ない事由もない以上、Bは「自己の責任で」選任することはできません(民法104条)。
4:× 復代理人は、その権限内の行為について「本人」を代表し、本人の名において行為します。
EはBの代理人ではなくAの代理人となるので、「Bの名においてBを代理する」とする点が誤りです(出題当時の民法107条1項)。
【ポイント】
表見代理と無権代理人の責任は相手方が選択できる、任意代理人の復任は「許諾」か「やむを得ない事由」が必要、復代理人は本人の代理人、の3点が定番です。