マンションの管理費の滞納等に関して、管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)が管理組合の管理者等に対して行った次のア〜エの説明のうち、誤っているものの組み合わせはどれか。
ア滞納管理費の額が60万円以下のときは、民事訴訟法に定める「少額訴訟」の手続によらなければなりません。
イ管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、当該区分所有権を取得する相続人が決定していなくても、すべての相続人に対し、その法定相続分に応じて滞納管理費を請求することができます。
ウ専有部分の売買契約によって、区分所有権を取得した買主は、売主が滞納していた管理費の支払債務を負いますが、売主の支払債務がなくなるわけではありません。
エ区分所有者が破産手続開始の決定を受けたときは、当該区分所有者は、破産手続開始決定の日の翌日以降の管理費の支払債務を負わなくてよいことになります。
正答2
解説
正解は2(ア・エ)。
滞納管理費の回収手段(少額訴訟)、相続人・特定承継人・破産者に対する請求の可否を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:× 少額訴訟は訴額60万円以下の金銭支払請求で「利用できる」手続であり、選択するかどうかは原告の自由です。
60万円以下でも通常訴訟や支払督促によることができるので、「少額訴訟の手続によらなければなりません」とする点が誤りです(民事訴訟法368条)。
イ:○ 金銭債務である滞納管理費は、相続により法定相続分に応じて各相続人に分割承継されます。
遺産分割で区分所有権を取得する者が決まっていなくても、各相続人に法定相続分に応じて請求できます(民法896条・899条、判例)。
ウ:○ 管理費債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人(買主)に対しても行使できます。
その場合でも売主の債務は消滅せず、売主と買主の双方に請求できます(区分所有法8条)。
エ:× 破産手続開始の決定を受けても、区分所有者であることに変わりはなく、開始決定後に発生する管理費の支払義務はなくなりません。
免責の対象となり得るのは開始決定前の原因に基づく破産債権であり、「開始決定の日の翌日以降の管理費の支払債務を負わなくてよい」とする点が誤りです。
よって誤っているものはア・エです。
【ポイント】
少額訴訟は「60万円以下・原則1回の期日で審理・年10回まで」の選択的な手続です。
「〜によらなければならない」という断定はひっかけの型です。