Aが所有するマンションの一住戸について、自らを貸主とし、借主Bと、期間を5年とする定期建物賃貸借契約(以下、本問において「本件契約」 という。) を締結しようとする場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
正答4
解説
正解は4。
借地借家法38条の定期建物賃貸借の成立要件(書面・事前説明)、期間、賃料改定特約を問う問題です。
【選択肢別解説】
1:× 定期建物賃貸借では、借賃の改定に係る特約がある場合には、借賃増減額請求権(借地借家法32条)の規定は適用されません(借地借家法38条7項)。
したがって、相互に賃料の増減額請求をしない旨の特約は有効であり、「無効である」とする点が誤りです。
なお、普通建物賃貸借では減額しない特約は無効となる点と区別しましょう。
2:× 賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、契約の更新がなく期間の満了により終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません(借地借家法38条2項)。
判例は、この書面は契約書とは別個独立の書面であることを要し、賃借人が内容を認識していたとしても、契約書とは別に書面を交付して説明しなければならないとしています(最判平成24年9月13日)。
説明を省略できないので誤りです。
3:× 定期建物賃貸借には、1年未満の期間を定めた建物賃貸借を期間の定めのないものとみなす規定(借地借家法29条1項)は適用されません(借地借家法38条1項後段)。
期間を6箇月とした定期建物賃貸借も有効に成立します。
4:○ 定期建物賃貸借は、事業用か居住用かを問わず、公正証書による等書面によって契約をしなければなりません(借地借家法38条1項)。
※現行法(2022年施行の改正後)では、契約及び事前説明の書面について電磁的記録によることも認められています。
【ポイント】
定期建物賃貸借は「書面契約+契約書とは別の書面による事前説明」が要件で、1年未満の期間も有効、賃料改定特約があれば増減額請求の規定は排除されます。