21歳、男性、事務職。
入社時健診で血清総コレステロールの高値を指摘されて来院した。
父親が高 LDL コレステロール血症と狭心症で治療中であり、兄は心筋梗塞で突然死している。
身長 170 cm、体重 66 kg、ウエスト周囲長 82 cm、血圧 132/80 mmHg。
両側のアキレス腱の肥厚を認める。
空腹時の血液検査値は、総コレステロール 364 mg/dL、 HDL コレステロール 54 mg/dL、トリグリセリド 110 mg/dL、血糖 102 mg/dL、 HbA1c 5.5%。
肝、腎、および甲状腺機能は正常。
この症例の病態に関する記述である。
正しいのはどれか。
1つ選べ。
正答4
解説
正解は4です。
21歳と若いのに総コレステロールが364 mg/dLと著しく高く、アキレス腱の肥厚(腱黄色腫)があります。
父親の高LDLコレステロール血症と狭心症、兄の心筋梗塞による突然死という家族歴もあり、家族性高コレステロール血症が考えられます。
【計算】
LDLコレステロール(フリードワルドの式)=総コレステロール-HDLコレステロール-トリグリセリド÷5
=364-54-110÷5
=364-54-22
=288 mg/dL
BMI=66÷1.70²=66÷2.89=約22.8 kg/m²
【選択肢別解説】
1:× 糖尿病型ではありません。
空腹時血糖102 mg/dLは126 mg/dL未満、HbA1c 5.5%は6.5%未満で、いずれも糖尿病型の基準を満たしません。
2:× メタボリックシンドロームではありません。
必須項目であるウエスト周囲長が82 cmで、男性の基準の85 cmに達していないためです。
3:× 血清LDLコレステロール値は、200 mg/dLではなく288 mg/dLと算出されます。
トリグリセリドが400 mg/dL未満なので、フリードワルドの式で計算できます。
4:○ LDL受容体の異常が考えられます。
家族性高コレステロール血症の多くはLDL受容体の遺伝子変異が原因で、LDLが肝臓に取り込まれず血中に蓄積するためです。
5:× 本態性高血圧ではありません。
血圧132/80 mmHgは140/90 mmHg未満で、高血圧の基準を満たしません。
【ポイント】
家族性高コレステロール血症は「高LDLコレステロール血症(180 mg/dL以上)」「腱黄色腫」「家族歴」の3項目のうち、2項目以上で診断します。
本症例は3項目すべてを満たしています。
若年から動脈硬化が進むため、早期の診断と薬物療法を含む治療が必要です。