30 歳の女性。
上腕切断標準断端。
上腕義手は差し込み式ソケット、8字ハーネス、複式コントロールケーブルシステム、随意開き式能動フックで構成されている。
適合判定の際、肘 90° 屈曲位で手先具が完全には開かなかった。
原因として考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
随意開き式能動フックは、ケーブルを引くと開き、力を緩めるとゴムの力で閉じます。
複式コントロールケーブルシステムでは、肘継手を固定したときにケーブルの牽引力が手先具の開閉に使われます。
ケーブルを引く力は、切断側の肩関節屈曲と両側の肩甲骨外転(肩甲帯の動き)で生み出します。
【選択肢別解説】
1:× フックのゴムは閉じる力を生むものです。
ゴムが弱ければ開くための抵抗はむしろ小さくなり、開きにくくなる原因にはなりません。
2:× ケーブルハウジングはケーブルの走行を保つ管です。
開大不全の原因として問題になるのは、肘屈曲時に屈曲や摩擦を生じやすい長すぎるハウジングであり、短すぎることは主因ではありません。
3:○ 肘90°屈曲位では、手先具を開くために十分なケーブルの引き量と力が必要です。
残存肢の肩甲帯の筋力が低下していると、ハーネスを介してケーブルを十分に引けず、フックが完全に開きません。
4:× 前腕支持部のトリミング不良は、肘の屈曲範囲の制限や皮膚の圧迫の原因になります。
手先具を開く力の伝達には直接関係しません。
5:× 手先具の操作に主に使うのは肩関節屈曲と肩甲骨外転です。
肩関節の回旋制限は、ケーブル操作の主たる動きではないため、開大不全の原因として考えにくいです。
【ポイント】
上腕義手の適合判定では、肘90°屈曲位や口元・ズボンのボタン位置で手先具が完全に開閉できるかを確認します。
開かないときは、ハーネスの調整・ケーブルの走行・本人の筋力の3点から原因を探します。