32歳の女性。
右利き。
運輸会社で10年間事務を担当している。
1か月前に脳梗塞を発症したが、運動麻痺は認めないため退院し職場復帰した。
与えられた仕事は意欲的に集中して行い、指示されたことを実行することはできていたが、上司からは自分で段取りを考えて行動ができないとの指摘を受けることが多くなった。
この患者の高次脳機能障害の検査で最も優先されるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
指示されたことは実行できるのに、自分で段取りを考えて行動できない状態は、遂行機能障害の特徴です。
運動麻痺がなく、意欲や集中にも問題がないことから、まず遂行機能を評価します。
【選択肢別解説】
1:○ BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)は、計画の立案や手順の組み立てなど、日常場面に近い課題で遂行機能を評価する検査です。
段取りの障害を評価するのに最も適しています。
2:× BIT(行動性無視検査)は、半側空間無視を評価する検査です。
本例には無視を示す情報がありません。
3:× CAS(標準意欲評価法)は、意欲の低下(自発性の低下)を評価する検査です。
本例は意欲的に仕事をしているので、優先度は低くなります。
4:× CAT(標準注意検査法)は、注意の持続や選択、配分などを評価する検査です。
本例は集中して仕事ができており、注意障害は目立ちません。
5:× RBMT(リバーミード行動記憶検査)は、日常生活に関連した記憶を評価する検査です。
指示を覚えて実行できているので、記憶障害の優先度は低くなります。
【ポイント】
遂行機能障害はBADS、注意障害はCAT、記憶障害はRBMT、半側空間無視はBIT、意欲低下はCASと対応させて覚えます。
遂行機能障害は前頭葉の損傷で生じやすく、決まった作業はできても新しい場面で計画を立てられないことが特徴です。