Aを貸主、Bを借主として令和4年5月1日に締結された期間1年の建物賃貸借契約において、CはBから委託を受けてAと連帯保証契約を同日締結した。
この事案に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア AB間の建物賃貸借契約が法定更新されると、AC間の保証契約も法定更新される。
イ Aは極度額の記載のない連帯保証契約書を持参してCと面会し、口頭で極度額について合意した上、Cの署名押印を得た。
この場合も連帯保証契約は効力を生じる。
ウ Cが、Aに対して、Bの賃料その他の債務について、不履行の有無、利息、違約金、損害賠償などの額について情報提供を求めた場合、Aは個人情報保護を理由に情報提供を拒むことはできない。
エ Bが死亡すると、連帯保証契約の元本は確定する。
正答3
解説
正解は3です。
この問題は、改正民法(2020年4月施行)による個人根保証と保証人保護の規定を問うものです。
建物賃貸借の連帯保証は、将来の賃料等を保証する個人根保証契約に当たります。
【記述別解説】
ア:× 保証契約そのものが法定更新されるわけではありません。
判例は、保証人は特段の事情がない限り、更新後の債務についても責任を負うとしています(最判平成9年11月13日)。
保証の効力が更新後の債務に及ぶのであって、保証契約が「更新」されるのではありません。
イ:× 個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。
極度額の定めは、書面又は電磁的記録でしなければなりません(同条3項)。
口頭で極度額を合意しただけでは、連帯保証契約は無効です。
ウ:○ 委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は履行状況の情報を提供しなければなりません(民法458条の2)。
不履行の有無や、利息・違約金・損害賠償等の残額などが対象です。
法律上の義務なので、個人情報保護を理由に拒むことはできません。
エ:○ 主たる債務者又は保証人が死亡すると、個人根保証契約の元本は確定します(民法465条の4第1項3号)。
借主Bの死亡後に生じた賃料等について、Cは保証責任を負いません。
正しいものはウ・エなので、正解は3です。
【ポイント】
個人根保証では、極度額を書面で定めることが必須で、欠けると保証契約全体が無効になります。
履行状況の情報提供義務は、委託を受けた保証人であれば個人・法人を問わず適用されます。