サブリースに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
なお、本問において「原賃貸借契約」とは、賃貸人(建物所有者)と賃借人との契約関係を指し、「転貸借契約」とは、転貸人(賃借人)と転借人との契約関係を指すものとする。
ア 建物所有者が賃貸不動産を不動産業者に賃貸し、不動産業者が転借人に当該賃貸不動産を転貸するサブリース事業において、建物所有者が原賃貸借契約の期間満了時に同契約の更新を拒絶することについては、借地借家法第28条の正当事由が求められない。
イ 原賃貸借契約における月額賃料が30万円で、転貸借契約における月額賃料が40万円の場合、賃借人が支払期日までに賃料を支払わないときは、賃貸人は転借人に30万円の支払を直接請求できる。
ウ 台風による飛来物により賃貸物件の窓ガラスが破損し転借人が修繕した場合、転借人は転貸借契約に基づき、原賃貸借契約の賃貸人に修繕費用を直接請求することができる。
エ 原賃貸借契約の賃貸人と転貸人が同契約を合意解除した場合、賃貸人は原賃貸借契約の解除を転借人に対抗できる。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は、サブリース(転貸借)における原賃貸人・転貸人・転借人の三者の関係を問うています。
【記述別解説】
ア:× サブリースの原賃貸借契約にも借地借家法が適用され、更新拒絶には正当事由が必要です。
判例は、事業者が転貸目的で一括して借り上げる契約も建物の賃貸借であるとしています(最判平成15年10月21日)。
そのため、建物所有者が更新を拒絶するには、借地借家法28条の正当事由が求められます。
イ:○ 賃貸人は転借人に対し、原賃料の30万円を限度に直接支払を請求できます。
転借人は、原賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に直接履行する義務を負います(民法613条1項)。
原賃料30万円と転貸賃料40万円のうち、低いほうの30万円が上限となります。
ウ:× 転借人は、原賃貸人に修繕費用を直接請求することはできません。
民法613条は、賃貸人が転借人に直接請求できることを定めた規定です。
転借人から賃貸人への直接の請求権は認められていません。
転借人は、契約関係にある転貸人に対して費用の償還を求めることになります。
エ:× 原賃貸借の合意解除は、原則として転借人に対抗できません。
賃貸人と転貸人の合意だけで、転借人の地位を奪うことは許されないからです(民法613条3項本文)。
ただし、合意解除の当時、賃貸人が債務不履行による解除権を有していたときは対抗できます(同項ただし書)。
正しい記述はイの1つなので、正解は1です。
【ポイント】
民法613条は「賃貸人から転借人への直接請求」を認める一方向の規定です。
合意解除は転借人に対抗できず、債務不履行解除は対抗できるという対比が頻出です。