定期建物賃貸借契約における次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 定期建物賃貸借契約の更新がない旨の事前説明を書面に基づいて行えば、その書面の交付がなくとも、契約は有効に成立する。
イ 契約期間が1年未満の定期建物賃貸借契約も有効である。
ウ 電磁的記録により定期建物賃貸借契約を締結することは可能である。
エ 150㎡の居住用建物の定期建物賃貸借契約において、賃借人が海外転勤を理由に解約を申し入れた場合、同契約は解約申入日から1か月を経過することで当然に終了する。
正答3
解説
正解は3です。
この問題は、定期建物賃貸借(借地借家法38条)の成立要件と、居住用建物の中途解約の特則を問うています。
【記述別解説】
ア:× 説明書面を交付しなければ、更新がない旨の定めは無効になります。
賃貸人は契約前に、更新がなく期間満了で終了することを記載した書面を交付して説明しなければなりません(借地借家法38条3項)。
この説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする定めは無効です(同条5項)。
書面を交付せずに説明しただけでは、定期建物賃貸借として成立しません。
イ:○ 契約期間が1年未満の定期建物賃貸借も有効です。
普通建物賃貸借では、1年未満の期間は期間の定めがないものとみなされます(借地借家法29条1項)。
しかし定期建物賃貸借にはこの規定が適用されないため、1年未満でも有効です(同法38条1項)。
ウ:○ 電磁的記録によって定期建物賃貸借契約を締結することができます。
契約は書面で締結する必要がありますが、電磁的記録によるときは書面によるものとみなされます(借地借家法38条2項)。
エ:○ 解約申入れの日から1か月を経過すると、契約は終了します。
床面積200㎡未満の居住用建物では、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情があれば、賃借人は中途解約を申し入れられます(借地借家法38条7項)。
この場合、申入れの日から1か月を経過すると契約は終了し、海外転勤も「転勤」に含まれます。
正しい記述はイ・ウ・エの3つなので、正解は3です。
【ポイント】
事前説明書面は、契約書とは別個独立の書面であることが必要とされています(最判平成24年9月13日)。
2022年5月施行の改正で、事前説明書面も賃借人の承諾を得て電磁的方法で提供できるようになりました。